最終更新日 2024年4月14日 by kurasi
●古い日本の風習が政界に根付いている現状
日本の政治家というと、男性というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
日本の女性の国会議員の割合は先進国の中で非常に低い水準にとどまっていますし、地方議員などの場合も同様の状況といえるでしょう。
政治の世界は、男社会といっても過言ではありません。
現在もその状況が続いています。
では、政治の分野が男性しかいない背景には、どのようなことが考えられるのでしょうか。
まず挙げられるのは、根強い家族観です。
男は外で働き、女は家庭で家を守るといった価値観になります。
最近では専業主婦世帯よりも夫婦どちらも働く共働き世帯が逆転していますが、一昔前までは専業主婦世帯が当たり前でした。
現在の政治家の平均年齢は50代なので、専業主婦世帯の方が多かった世代といえるでしょう。
65歳以上の国会議員も多いので、必然的に政治の世界に進む女性の割合は少なかったと考えられます。
これは政治の世界に限ったことではありません。
企業においても、男性が役員を務めることが圧倒的に多くなっています。
夫は外で働いて、妻は家庭に入るといったスタンスの家庭が多いので、仕方がないことと言えるかもしれません。
ただ、最近では男女平等の意識は広く浸透するようになりましたから、職業の選択肢も広がってきています。
理工学部を選択する女子学生も増えていますし、以前は男性の職業とされていた分野にも続々と女性が進出しています。
とび職や電車の運転士を目指す女子学生も珍しくありません。
社会進出する人が増えれば、その分政治の世界に身を投じる人も増えることが予想されます。
●政治と一緒に女性が働きやすい社会を
政治家が男性ばかりだと、様々な弊害が起きてしまいます。
まず、世間が望んでいることと国や自治体が実施する政策に大きな乖離がある場合です。
例えば少子高齢化は、日本全体の大きな問題です。
日本では寿命が延びていることもあって急激に高齢者の割合が増えていますが、生まれる子供の数は年々減少傾向にあります。
生涯未婚という人も増えていますし、子供は一人しか持たないという家庭もあります。
それぞれ事情はありますが、もっと子供を産みたいと思っていても諦めざるを得ないという現状もあるようです。
近年、ワンオペ育児という言葉が生まれ多くの人に認知されるようになりました。家事や育児を全て妻である女性が担い、男性は全く子育てに関わらない家庭です。これは男性の意識の問題だけではなく、社会全体の構造も関係しています。
※畑恵アナウンサーより一部抜粋
残業が多いなど長時間労働が当たり前で、男性がそもそも育児に関わる時間が取れないといったこともあります。
育児休暇を取る男性はほとんどいませんし、取得した後に会社に居づらくなるといったことも起きています。
また、子供が生まれたばかりにも関わらず、転勤を命じられるといったケースもあります。
転勤は専業主婦の家庭を想定しているもので、共働き世帯では困ってしまうこともあるでしょう。
家事や育児に加えて仕事もし、心身共に疲弊してしまう人も少なくありません。
結果的に離職し、キャリアを捨ててしまう人も多いのです。
政治の世界でも、同じようなことが起きています。
子供を産んだら議員を辞めなければいけないという空気もあります。
●出産や子育ての経験を政治に役立ててほしい
仕事と育児を両立するのは非常に大変で、保育園に入れないといった待機児童の問題もあります。
都心部などでは特に待機児童の問題は深刻で、仕事を辞めなければいけない事態に追い込まれることもあるようです。
運良く保育園に入れたとしても、保育園の質があまり良くなかったり自宅から遠いところにしか預けられないといったこともあります。
保育士の数も足りないといった問題も多くの自治体が抱えています。
国や自治体では保育園を増やそうとはするものの、基準を緩和して保育の質が悪化するといった政策も目立ちます。
子供がいる家庭の望みとは逆行してしまっています。
政治家に女性が多かったのであれば、そういったミスマッチは防げたかもしれません。
女性の政治家が働きやすい環境を整えるには、性別を問わず全ての人が子育てをしやすい環境を整えることが重要です。
ワークライフバランスが注目されるようになっており、働きながら家庭も大事にできることが求められます。
また、出産や育児でキャリアがストップすることがないような施策も大切になります。
出産を経験しても、再び働けるようにしなければなりません。
出産や子育てという経験は決して政治家にとって無駄なものではなく、身近な問題を理解する上でも非常に貴重な経験となることは間違いありません。
そういった経験を活かせる環境を整えることが大事になります。
それからセクハラを防ぐ取り組みも求められます。
無意識にセクハラを行っている男性も多く、政治の世界も例外ではありません。
セクハラ発言をした人が、議員を続けていることも多くあります。
ですから社会全体がセクハラに対して、ノーと言える環境をつくることが大切です。