最終更新日 2024年4月14日 by kurasi
家賃保証会社を利用する利点について、大家さんの皆さんはご存じでしょうか?
ご存じの通り日本の法律では入居者の権利が非常に強く、たとえ家賃を滞納されたとしても大家さんにできる手段はかなり限られています。
むしろ強引な手段で家賃を回収しようとした場合、大家さん自身に刑事責任が発生することもあるくらいです。
以前は入居の方に保証人を用意してもらうこともあったと思いますが、保証人の方に支払い能力がなければ結局同じことなので、やはり全保連などの家賃保証会社をお勧めします。
【参考】全保連 烏川代表
目次
家賃保証の仕組みを全保連さんに聞いてみた
ではどのような仕組みで家賃を保証しているのでしょうか?
今回はそれをご説明します。
簡単に言うと生命保険をイメージしていただくとわかりやすいです。
多くの加入者から広く浅く保険料を受け取って、万が一の際に保険金を支払う仕組みになっています。
万が一の病気やケガなどは統計的にどのくらいの確率で発生するのかが予測できるので、その数値に基づいて保険料を決めておけば生命保険会社の利益を確保しつつ、リーズナブルな保険料で保険のシステムを維持できるのです。
家賃保証会社についても同様で、入居者の家賃滞納がどのくらいの確率で発生するか?どのような方がどのくらいのリスクがあるか?などの情報をもとに統計的判断ができるのが家賃保証会社の付加価値になります。
2020年の民法改正における借地借家法への影響
また、近年家賃保証会社が注目される大きな理由が一つあり、それは2020年の民法改正における借地借家法への影響です。
基本的に保証人の立場を守るように法律が改正されています。
それに伴いより家賃保証能力の高い家賃保証会社に切り替える大家さんが増えているようです。
この法律は2020年の4月1日に施行されています。
もうすでに施行されていて、すでに有効な法律です。
では具体的にはどのような変更があったのでしょうか、ここでは具体的にみていきましょう。
消滅時効に関する見直し
まず「消滅時効に関する見直し」があり、権利を行使できるときから10年、知った時から5年のいずれか短い方が適用されるように民法が改正されています。
法定利率に関しては改正前は民事が年5%、商事が年6%でしたが、改正後には統一して年3%になりました。
また、緩やかな変動制が導入され3年に一度見直されることになりました。
日銀公表の金利をもとに算出されるようなので、昨今の低金利を考慮すると基本的には低くなると想定しておいた方が良いでしょう。
保障に関する見直し(家賃保証もこれです)については、一つには包括根保障の禁止対象が拡大されました。
包括根保障とは
さて、包括根保障とはなんでしょうか。
安心してください、かみ砕いて説明します。
まず保障とは「通常の保証」と「根保障」に分かれ、そして「根保障」の中の一部が「包括的根保障」です。
通常の保証と根保障はどのように違うのでしょうか。
通常の保証は契約時に債務が発生しています。
たとえば住宅ローンなどです。
それに対して根保障では契約時は債務が存在せず将来発生するかもしれない債務に対して保証しており、家賃の保証人についてはこれに該当します。
実はこの部分については平成16年にすでに改正されて、保証人が意図せぬ被害を被らないように配慮されていたのですが、そのときに残されていた課題について、今回の法改正で対処されました、「包括的根保障」です。
法改正後は限度額の設定が必須
平成16年の改正では家賃の保証人には限度額を設定しなくてもよかったのですが、法改正後は限度額の設定が必須となっています。
また、主債務者(入居者)が破産や死亡した場合は保証を打ち切るとの条項があるのですが、これについては借地借家契約には該当しません。
また、保証人の個人保護の拡充として保証契約締結時の情報提供が義務化されました。
改正前は主債務者や債権者は保証人に対して自身の財務状況を説明する義務を持っていませんでしたが、改正後は義務化されました。
情報提供義務に違反していた場合は保証人は保証契約を取り消すことができるとなっています。
ただしこれは事業用融資に限るようです。
主債務者の履行状態を保証人に提供する義務が発生
他にも主債務者の履行状態を保証人に提供する義務が発生しました。
債権者は保証人から請求があれば債務の履行状況について情報開示しなければなりません。
情報開示の際には主債務者の同意は不要です。
債権譲渡についても見直しが入りました。
具体的には譲渡制限特約の扱いが変わりました。
今までは譲渡制限特約の書かれた契約では債権の譲渡は原則無効でしたが、預貯金債権を除いて債権譲渡の効力を妨げることは出来なくなりました。
譲渡制限特約のついた契約の債権を譲渡されたとしても債務者は、それ理由に契約を解除することはできません。
まとめ
これは債権譲渡後も債務の弁済先を変えなくてもよいとの内容が法改正に含まれているからです。(もちろん受け取った弁済金は債権の譲渡先に渡さなければなりません。)
他にも多くの変更事項があります。
判断の参考になりそうなサイトがいくつかありますので、詳しく知りたい方は参照してみてください。